課題別ケーススタディ
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課題後継者の不在による事業承継
医療法人
医療法人グループ
医療法人Aは、某県の政令指定都市で約50床の精神病院を40年以上にわたって運営していた。病院長の個人的な人脈や、市街地に立地した集患がしやすい環境に恵まれ、これまで順調に経営を続けてきた。病院長のご子息は医師であるが、首都圏の大学病院で勤務医として働いており、後を継ぐ意思はなかった。
3年前、病院経営を継いでもらう目的で医師を外部から招いたものの、すぐに方針の違いが明らかになり退職。自力での解決を断念した病院長から相談を受けて案件化した。
買収側の医療法人は、隣県で精神科の専門病院を含め、複数の病院を運営している。理事長は40代前半と若く、かねてより従来の診療圏外へ進出したいと考えていた。
事業承継はクロージングまで数年かかることもある。しかし、アドバイザー側で買収側の理事長が持っていた県外進出構想や今後の事業戦略をあらかじめ把握していたため、スピーディな買収が実現した。 -
課題大手医療法人グループによる吸収合併
医療法人
医療法人グループ
法人Bは、首都圏の中核市で200床弱の急性期病院を運営していた。建設後30数年経過した建物施設は老朽化が目立ち始め、建て替えを検討する必要があった。老朽化により病床稼働率がやや低下傾向であるものの、積極的に救急患者を受け入れる方針によって、同規模の他病院と比べて外来や入院の患者は多く、経営は黒字で順調に推移していた。
さしあたって経営上の大きな課題はなかったものの、建て替え後を踏まえた今後の事業の継続を考えると、難しい経営のかじ取りが予想された。また、法人トップの理事長は当時すでに65歳を超えていたために自身の後継者を探していたが、家族や親族の中から候補に挙がる人材がなく、知り合いの医師に声をかけるも、よい返事が得られなかった。
当社がサポートに入って協議を進めた結果、理事長は、医療経営に優れた実績を持つ病院グループに今後の経営を委ねることで、地域に根ざした病院として引き続き経営を維持してほしいと考えるようになった。
引き受け先を探した結果、全国から複数のグループ法人が継承に手を挙げた。その中で経営に対する理事長の思いに近く、回復期を中心にした病院や老健を複数抱える西日本の医療法人グループに譲渡されることが決まった。スキームとしては吸収合併が適切と考えられ、採用されることになった。
医療法人の合併にあたって、県および地域の関係者の承認を得るプロセスが必要であるが、地域医療の維持を目的とする統合であることが理解され、承認された。また、利害関係者である従業員や患者に混乱が生じることもなく、スムーズに合併が行われた。 -
課題事業領域の拡大によるM&A
医療法人
医療法人
法人Cは関東の地方都市で病院と2軒のクリニックを運営している。病院の持つ病床は100床強で、クリニックはいずれも病床を持っていない。10年ほど前から、近隣に住む高齢者を対象にした訪問診療に力を入れていた。
4年前に前院長が亡くなった後、同じく医師である弟が後を継いで経営を行っていたが、その弟も高齢のために後継者を探し始めていた。しかし家族や親族に医師はおらず、後継者の捜索に行き詰まり、当社が支援に入り、譲渡先を検討することになった。
買収に手を挙げた法人数件と交渉を進めた結果、隣県で訪問診療を中心に行う医療法人Dへ譲り渡すことになった。Dは10軒超の医科クリニックと歯科クリニックを運営しており、訪問診療事業をさらに拡大するためにM&Aを検討し始めていた。
医療の質を維持しつつ、広範囲に事業展開を行うためには、サービスの提供範囲を得意領域に絞ることやエリアを選択することが大切である。経営資源の分散を防止できる一方、リソースの有効活用による相乗効果が期待できる。
当案件では、Dの持つ訪問診療事業のブランド力が向上した。また、人材の採用力や施設間の人員配置の柔軟性も高めることができた。
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